北欧視察最終日。終日、リングステッド市、夕方コペンハーゲンに移動です。
午前中、ヘルス&トレーニングセンターで理学療法士でチームリーダーのヤコブさんにお話を伺いました。ここでまず驚いたのが、通ってこられるご高齢者の方々の健康に対する意識が高く、自ら進んでマシンを操作したりリハビリをされていることです。そしてこの日、あるご夫婦が当事者と家族を代表してここに至るまでの経緯とセンターの役割をお話してくださいました。そのご夫婦は、認知症と診断されたご主人が可能な限り在宅で過ごせるようとこのセンターを活用されていました。ご夫婦とスタッフさんは、まるで家族のようにお互い信頼しあい、皆がご主人に寄り添っているのが伝わってきました。ご主人はもともとエンジニアをされており、大阪万博の時に日本に来られていたそうです。私達に会ったことで「日本のことを思い出すよ。懐かしいね」と涙ぐまれていました。
その後、センター所長のヘンリックさんの案内で高齢者福祉センター内の認知症ケアの説明を受けました。せっかくのお天気なので、と外でのレクチャー。ヘンリックさんは「認知症の方が見ている世界を理解し、言葉にできない思いに寄り添い、どのようにケアをしていくのか考える力(洞察力)がケアスタッフには必要とおっしゃっていました。
その一部を…と紹介されたのが、見たこともない車椅子用電動自転車。なんと、前輪のところに車椅子を載せられてサイクリング気分を味わえるというのです。「動けなくなっても、認知症になっても、天気のいい日は普通にサイクリングをしたいですよね?」とヘンリックさん。とても人気があって、センターに何台かストックがあるそうですが順番に貸し出しをしているそうです。もちろんこれも無料貸し出し。
続いて紹介されたのがいわゆるアニマルセラピー。と聞いて、イメージしたのはワンちゃん、猫ちゃんがいるのかな?と思いましたがスケールが違いました!目の前にいたのは真っ白で立派なお馬さん‼
重度の認知症のご婦人の生活背景をご家族から聞き、もともと馬のいる生活をされてきたことを知って定期的にお馬さんに来てもらうようにしたというのです。さらに、不安であちこち歩きまわることがあったことからドアに馬の納屋を描いたところ、「あの子(馬)ちゃんといるわね」と安心して部屋に戻るようになったということでした。その絵のクオリティーの高さにも驚かされます。色んなところにこのような絵や飾り、家具があって、どれもご高齢の方が馴染みのある風景や物でどれもおしゃれです。
最後に国内外で注目されている高齢者福祉センター内にあるカフェ・インゲボへ。運営するのはNPO法人で、代表のアンネさんはオペラハウスの超高級レストラン出身の料理長ヤコブさんと共に、最高級クラスのお料理を誇りをもって提供しています。障害者雇用も積極的に行われており、市からの補助もないのに利益を出している素晴らしいチームです。そのお料理をいただきましたが本当に美味しかったです‼ カフェ・インゲボの皆さん、ありがとうございました。
午後、ソールバッケンプライエセンターに移動。今回のデンマークの視察を企画し付き合ってくださった所長のジョンさん、クオリティー開発コンサルタントのロッテさんから最後のレクチャーと総括をしていただきました。リングステッド市の取組としてとても印象的だったのが、さまざまなイベントを通して子供からお年寄りまで一緒に取り組み・考える機会を当たり前に提供していることです。その取り組みの一つとして‟認知症アワード”という市の表彰制度があり、前回の受賞者(犬?)が認知症の方を癒してくれるセラピー犬のワンちゃんだったというエピソードソードがありました。日常的に存在する世代を超えた様々なイベントと交流、介護予防や定期的な自宅訪問による制度や病気に対する知識や情報提供、メディアを通しての啓発活動など。日本でも参考にできることがたくさんありました。
スウェーデンのクリスチャンスタッド市・デンマークのリングステッド市による北欧視察ツアーの報告は以上となります。次回は今回の視察ツアーを通して学んだことについて、総括していきますので、よろしければ引き続きご覧いただけると幸いです!